<作品企画案の概要>
11階展望回廊から一望できる愛知の街並みを背景にして、全長約30メートル続く窓ガラスに直接切り絵を貼りつけたインスタレーションを行いたいと考えている。
展望回廊から見える無機質な都会の風景と、そこで実際に生きている人々の生活のギャップに注目し、展示を行いたい。
人と人とが笑顔でコミュニケーションを行っている様子を切り絵で描き、展望回廊の窓枠内すべてに配置したい。
例えば花の種を植える夫婦やおしゃべりをして遊ぶ子供たちなど、ささいな日常を描く予定である。
私が描き窓ガラスに貼りつけていく人々の様子は、物や音が溢れるほど、高い場所へ行けば行くほど、見えなくなるものである。
高い場所へ登って下を見下し人々が感じる爽快感と、その前に貼りつけてある人々の日常生活は、遠くへいくほど見えなくなるものが近くに出現しているというギャップがある。
展望回廊に新たな効果が生まれるのではないかと考える。
また、展望回廊の魅力の一つに時間帯や天気によって見える景色の印象が変わっていくことが挙げられる。
変化していく背景(景色)は、描かれた人々に時間の経過という新たな物語を加えるであろう。
人々を描いた切り絵は同じ高さ、横並びに配置していく予定であり、笑顔いっぱいの展望回廊にしたいと考えている。